日韓情報協定の安定運用で一致 防衛相会談
2017/6/3 22:03
【シンガポール=酒井恒平】
稲田朋美防衛相は3日、訪問先のシンガポールで韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相と会談した。
先月に同国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足して以降、日韓の閣僚が会談するのは初めて。
会談後、稲田氏は日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に関し「安定的に運用することで一致した」と明らかにした。
韓氏は朴槿恵(パク・クネ)前大統領が2014年に任命。
文政権発足に伴い退任するとみられていたが、新政権の閣僚人事が遅れている影響で引き続き国防相を務めている。
日本側によると、稲田氏が「安定的な運用が重要だ」と話し、韓氏はGSOMIAの重要性に理解を示したという。
日韓で軍事情報を共有しやすくするGSOMIAは1年ごとに自動延長されるが、韓国側は破棄を通告できる。
文大統領は大統領選公約で「効用性を検討して延長するかどうかを決定する」と慎重姿勢を示していた。
稲田氏は会談で、防衛相同士の相互訪問も提案した。15年に中谷元・防衛相が韓国を訪問して以来、相互の訪問はない。
韓国側が日本に訪問したのは09年が最後だ。稲田氏の提案に韓氏は「過去にも要請があったが、訪問できておらず残念だ」と応じた。
稲田氏は会談で「新政権でも日韓の協力が前向きに進むことを期待する」とも伝えた。
韓氏は「両国の信頼醸成が進む場になればいい」とした。北朝鮮問題での連携も確認した。
従軍慰安婦問題を巡る日韓合意が話題に上がったかについて、稲田氏は会談後に「いろいろな問題があるが、未来志向で一致した」
と述べるにとどめた。
文大統領は従軍慰安婦問題を巡る日韓合意には懐疑的だが、北朝鮮情勢への対応を念頭に歴史問題を切り離して安保協力は進める
「ツートラック戦略」をとる。
稲田氏はこれに先立つアジア安全保障会議で「日韓合意は国と国の合意だ。これを前提に未来に向けて日韓関係を構築する」と言及し、
韓国の合意履行が必要だとの認識も示した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H10_T00C17A6EA3000/