措置入院中に身体拘束死亡 遺族「人権侵害」
毎日新聞 2017年7月19日 21時03分(最終更新 7月19日 21時06分)
日本で措置入院中に身体拘束を受けたことが原因で死亡したとして、ニュージーランド人男性の遺族が19日、東京都内で記者会見し
「日本は患者の人権を著しく侵害している」と訴えた。
支援者らと「精神科医療の身体拘束を考える会」を作り、今後、事例収集や署名集めで制度改正を呼び掛けていくという。
死亡したのは、国際交流事業で英語教員をしていたケリー・サベジさん(27)。
同会によると、精神疾患に伴う行動でけがをする恐れなどがあるとして4月末に神奈川県内の精神科病院に措置入院し、直後からベッドに拘束された。
10日後に心肺が停止し、その後に死亡。
長時間体を動かせない場合に起きるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)による肺塞栓(そくせん)を起こしていた可能性があるという。
精神保健福祉法では、精神科の患者の拘束や隔離が限定的に認められているが、近年は多用される傾向にある。
厚生労働省の2014年6月の調査で、身体拘束されていた患者は1万682人に上り、10年前から倍増した。
同会の呼びかけ人代表の長谷川利夫・杏林大教授の調査によると、先進諸国の患者1人当たりの平均拘束時間は数時間〜数十時間だが、
国内は平均96日間に達するという。
来日した母マーサさん(60)は「息子は日本が好きで生活を楽しんでいた。
動けないまま亡くなり、本当に悲しい最期だった。身体拘束をなくしてほしい」と話した。【山田泰蔵】
http://mainichi.jp/articles/20170720/k00/00m/040/087000c