お願いだから『クボ 二本の弦の秘密』を観て! 口コミで広がる人気の秘密とは?
https://cinema.ne.jp/recommend/kubo2017113017/
待ちに待った公開だった。ゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞でその名を轟かせ、“日本へのリスペクトに満ちた作品”でありながら、なかなか日本での上映が決まらず。
その結果多くの映画ファンをヤキモキさせたスタジオライカの新作『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』が、ついに日本でも公開された。
日本を舞台にしながらアメリカでの上映時にも絶賛評が上がっていた本作。その証拠が名だたる賞へのノミネートだったわけで、正直なところそんな評価を聞いていれば鑑賞前から不安要素はほとんどなかったとも言える。
そして実際自分の目で確かめてみても、それはまごうことなき名作だったのだ。ということで、今回は『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』を紹介したい。
貴重な映画体験
などと冷静を装って書けるほど、本作が持つ魅力は単調なものではない。
正直なところこれだけ日本の文化や精神性、日本の歴史を愛した作品をなぜすぐにでも公開しなかった! という思いもあるが、それに関しては公開まで漕ぎ着けた配給会社のGAGAには感謝しかない。
とにかく、国内で何百本と公開される映画の中には話題になることなくひっそりと上映が始まり、不入りのうちにひっそりと終わるなんてことはよくある話だ。
けれど、そんな中にも珠玉の作品は当然のように混ざりこんでいることも見逃してはならない。筆者の経験でいうと『ヒックとドラゴン』がその筆頭だ。のちに大傑作と呼ばれながら、劇場で鑑賞しなかったことが悔やまれてしょうがない。
もちろん映画の公開というものにも莫大な費用が掛かり、宣伝に回せないこともある。その結果認知度が低くなり、集客に反映されてしまうという悪循環が生まれるが、前述のように、それは同時に「なぜ映画館で鑑賞しなかったのか」という禍根の種を撒いてしまうことにもなる。
それは本作も同じで、いつしかツイッターでは鑑賞者がこぞって「#一生のお願いだからクボを観て」「#クボおススメ」といったタグを利用して、その種を摘もうという動きまで起きた。
まずもって公開規模が小さいため思うように足を運べないというハンデもあるのだが、そんなときこそ映画ファンの、観客の声で作品を拡げるというのも現代の映画宣伝・公開の在り方の一つになっているのではないだろうか(口コミで上映規模を拡大してヒットした『この世界の片隅に』のように)。