森蘭丸 信長に寵愛を受け、本能寺の変で散った美少年の生涯
蘭丸は1565年の生まれで、信長に仕えたのは1577年、数えで13才の時のことでした。
信長の側に侍し、身の回りの雑用をこなしましたが、利発でよく気がつくことから、日を重ねるごとに気に入られていきます。
わざと座敷で転ぶ
蘭丸が主人ために大変に気をつかっていたことの証しとして、次のような話もあります。
ある時、僧が信長に面会するために安土城を訪れたことがありました。
僧は土産にたくさんのミカンを持ってきて、これを台に積んで献上しました。
この台を蘭丸が座敷に運んで披露しようとしたのですが、信長は「そなたの力では危ない、倒れてしまうぞ」と注意します。
すると信長が言った通り、蘭丸は座敷の真ん中で転び、ミカンを散らばらせてしまいました。
信長は「我が目利きの通りだ、それ見たことか」と言いましたが、さして気分を害した様子でもありません。
次の日、他の小姓たちが蘭丸に「昨日は御前で失敗をしてしまったようだが、さぞかし気を落としているのではないか?」と声をかけました。
これに対し蘭丸は「少しも気を落としてはいない。
殿が『危ない、倒れるぞ』とおっしゃられたのに、ミカンの載った台をとどこおりなく運ぶと、殿の目利きを違えてしまったことになる。
だから私はわざと倒れたのだ。主人の目利きを違えるのは、従者にとって何よりも悪しきことなのだから」と述べました。
これを聞いた小姓たちは、蘭丸の気の回りように感心した、ということです。
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