http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM29H38_Z20C17A6FF2000/
2017/6/29 20:07
【ワシントン=鈴木壮太郎】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、トランプ米大統領との首脳会談のため米国に到着した。文氏に同行する韓国大手企業52社は、今後5年間で計128億ドル(約1兆4400億円)を米国に投資すると表明した。トランプ政権が重視する対米投資の拡大を約束し、初会談に臨む文氏を側面支援する構えだ。
首脳会談に先立つ28日、文氏はまず米商工会議所で開いた「米韓ビジネスサミット」に参加した。テーブル中央に座った文氏の周りには、SKの崔泰源(チェ・テウォン)会長、現代自動車の鄭義宣(チョン・ウィソン)副会長、LGの具本俊(グ・ボンジュン)副会長ら大手企業の首脳級が陣取った。
SKは28日、米GE、コンチネンタル・リソーシズとシェールガスの探査・生産で提携すると発表した。投資額は今後5年間で最大44億ドルに上る。2020年からは米国産液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)の輸入も始める。
サムスン電子も同日、サウスカロライナ州に3億8000万ドルを投じ、家電工場を建設すると正式発表した。テキサス州の半導体工場にも20年までに15億ドルを投資する計画だ。LG電子もテネシー州の家電工場新設に2億5000万ドルを投資する計画を発表している。
韓国政府は同日のビジネスサミットを「経済界がやっていること」とやや距離を置いた。だが実際は政府が大韓商工会議所に要請し、実現にこぎ着けたもようだ。各社はもともと計画していた対米投資を文氏訪米に合わせて発表し、初の首脳会談に花を添えた。
韓国大手企業が文氏との二人三脚の姿勢を示す背景には、文政権発足後ぎくしゃくする関係の修復につなげたい思惑がある。実は文氏が5月の大統領就任後に経済界の会合に同席するのは、今回の米韓ビジネスサミットが初めてだ。
文氏は財閥改革を掲げて当選し、企業に厳しい姿勢を取ってきた。経営者団体の韓国経営者総協会に対しては、報道官を通じて「非正規職(の拡大)で社会を二極化させたことを反省しなければならない」と強く批判した経緯がある。
トランプ氏との会談は文氏にとって初の大きな外交の舞台だ。だが米軍による地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備を巡って不協和音が露呈し、米韓自由貿易協定(FTA)の先行きも予断を許さない。こうしたなかで経済界が差し出した「手土産」は、文氏のメンツを立てる効果があったのは間違いない。
文氏は米国からの帰国後に経済界と会合を持ち、経済政策を共有する考えを明らかにした。米韓首脳会談の行方はみえないが、政権と企業の関係改善にはつながったもようだ。
2017/6/29 20:07
【ワシントン=鈴木壮太郎】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、トランプ米大統領との首脳会談のため米国に到着した。文氏に同行する韓国大手企業52社は、今後5年間で計128億ドル(約1兆4400億円)を米国に投資すると表明した。トランプ政権が重視する対米投資の拡大を約束し、初会談に臨む文氏を側面支援する構えだ。
首脳会談に先立つ28日、文氏はまず米商工会議所で開いた「米韓ビジネスサミット」に参加した。テーブル中央に座った文氏の周りには、SKの崔泰源(チェ・テウォン)会長、現代自動車の鄭義宣(チョン・ウィソン)副会長、LGの具本俊(グ・ボンジュン)副会長ら大手企業の首脳級が陣取った。
SKは28日、米GE、コンチネンタル・リソーシズとシェールガスの探査・生産で提携すると発表した。投資額は今後5年間で最大44億ドルに上る。2020年からは米国産液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)の輸入も始める。
サムスン電子も同日、サウスカロライナ州に3億8000万ドルを投じ、家電工場を建設すると正式発表した。テキサス州の半導体工場にも20年までに15億ドルを投資する計画だ。LG電子もテネシー州の家電工場新設に2億5000万ドルを投資する計画を発表している。
韓国政府は同日のビジネスサミットを「経済界がやっていること」とやや距離を置いた。だが実際は政府が大韓商工会議所に要請し、実現にこぎ着けたもようだ。各社はもともと計画していた対米投資を文氏訪米に合わせて発表し、初の首脳会談に花を添えた。
韓国大手企業が文氏との二人三脚の姿勢を示す背景には、文政権発足後ぎくしゃくする関係の修復につなげたい思惑がある。実は文氏が5月の大統領就任後に経済界の会合に同席するのは、今回の米韓ビジネスサミットが初めてだ。
文氏は財閥改革を掲げて当選し、企業に厳しい姿勢を取ってきた。経営者団体の韓国経営者総協会に対しては、報道官を通じて「非正規職(の拡大)で社会を二極化させたことを反省しなければならない」と強く批判した経緯がある。
トランプ氏との会談は文氏にとって初の大きな外交の舞台だ。だが米軍による地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備を巡って不協和音が露呈し、米韓自由貿易協定(FTA)の先行きも予断を許さない。こうしたなかで経済界が差し出した「手土産」は、文氏のメンツを立てる効果があったのは間違いない。
文氏は米国からの帰国後に経済界と会合を持ち、経済政策を共有する考えを明らかにした。米韓首脳会談の行方はみえないが、政権と企業の関係改善にはつながったもようだ。