https://mainichi.jp/articles/20210210/k00/00m/040/265000c
毎日新聞2021年2月11日 11時00分(最終更新 2月11日 11時00分)
クラスターが発生した特別養護老人ホーム「弘恩苑」=香川県高松市前田西町で2021年2月10日午後1時7分、潟見雄大撮影
新型コロナウイルスのクラスターが発生した高松市前田西町の特別養護老人ホーム「弘恩苑」は1月6日に職員1人の感染が確認されて以降、2月上旬まで新たな感染者の確認が相次いでいる。10日の発表時点で職員、入所者合わせて107人の感染が確認された。なぜ感染を食い止めることができなかったのか。
香川県の浜田恵造知事は記者会見で「介護業務の特質上、どうしても職員と入所者の距離が近くなってしまう。完全に防ぐのは難しい」と語る。県などによると、職員はマスクを着用していたが、入所者の中にはマスクを嫌がったり、すぐに外してしまったりする高齢者もいたという。
また、個室ではなく4人程度の大部屋で介護をしていたことも感染が広がった要因として挙げられる。感染が判明後、室内をゾーニング(区分け)したが、カーテンを使って仕切るしかなく、感染の広がりを完全に防ぐことは難しかった。
入所者は要介護度が3〜4程度の高齢者が多く、継続した介護が必要なことから、感染が判明しても他の病院へ移らずに施設内で療養している入所者が多い。感染が判明した入所者は速やかに部屋を移動し、陽性者と陰性者の部屋を分けるよう対応していた。
しかし、介護にあたる職員の数も限られており、同じ職員が陽性者と陰性者の両方に接さざるを得なかった。また感染者が増えるにつれ、陽性者と陰性者が同じ部屋で過ごしたり、認知症の入所者が間違えて部屋を行き来したりした。その結果、新たな感染を食い止めることができなかったという。
県と高松市は介護施設などの職員全員を対象に一斉PCR検査の実施を進めている。弘恩苑の山本佳人事務長は「一度施設内で感染が広がると食い止めることは困難。予防意識を高める意味でも、県内全ての職員が検査を受けるべきだ」と呼びかける。【潟見雄大】
毎日新聞2021年2月11日 11時00分(最終更新 2月11日 11時00分)
![香川の特養で大規模クラスター 介護現場での感染防止策の限界 [ひよこ★]->画像>1枚](https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/02/10/20210210k0000m040269000p/9.jpg)
クラスターが発生した特別養護老人ホーム「弘恩苑」=香川県高松市前田西町で2021年2月10日午後1時7分、潟見雄大撮影
新型コロナウイルスのクラスターが発生した高松市前田西町の特別養護老人ホーム「弘恩苑」は1月6日に職員1人の感染が確認されて以降、2月上旬まで新たな感染者の確認が相次いでいる。10日の発表時点で職員、入所者合わせて107人の感染が確認された。なぜ感染を食い止めることができなかったのか。
香川県の浜田恵造知事は記者会見で「介護業務の特質上、どうしても職員と入所者の距離が近くなってしまう。完全に防ぐのは難しい」と語る。県などによると、職員はマスクを着用していたが、入所者の中にはマスクを嫌がったり、すぐに外してしまったりする高齢者もいたという。
また、個室ではなく4人程度の大部屋で介護をしていたことも感染が広がった要因として挙げられる。感染が判明後、室内をゾーニング(区分け)したが、カーテンを使って仕切るしかなく、感染の広がりを完全に防ぐことは難しかった。
入所者は要介護度が3〜4程度の高齢者が多く、継続した介護が必要なことから、感染が判明しても他の病院へ移らずに施設内で療養している入所者が多い。感染が判明した入所者は速やかに部屋を移動し、陽性者と陰性者の部屋を分けるよう対応していた。
しかし、介護にあたる職員の数も限られており、同じ職員が陽性者と陰性者の両方に接さざるを得なかった。また感染者が増えるにつれ、陽性者と陰性者が同じ部屋で過ごしたり、認知症の入所者が間違えて部屋を行き来したりした。その結果、新たな感染を食い止めることができなかったという。
県と高松市は介護施設などの職員全員を対象に一斉PCR検査の実施を進めている。弘恩苑の山本佳人事務長は「一度施設内で感染が広がると食い止めることは困難。予防意識を高める意味でも、県内全ての職員が検査を受けるべきだ」と呼びかける。【潟見雄大】