
高輪に世界一のパン屋を夢見る男がいる。ブーランジェリーセイジアサクラのオーナーシェフ、セイジアサクラこと朝倉誠二。
彼のパンは過剰である。たとえば代名詞といえるバゲット。
粉と水と酵母と塩という最小限の材料で作るパンゆえに、味わいの濃度の上限は決まっているはずだが、アサクラの手にかかるとそうならない。
まるで油を塗って焼いたみたいに甘いし、コンソメ味のように旨味は濃厚。
そして発酵種(いわゆる天然酵母)がフェロモンのように香ってくる。
ありとあらゆる手を尽くして食べ手の心に誘いをかけ、揺さぶり、鷲掴みにする。アサクラのパンからは、彼の情熱と野望がびんびん発散されている。
四国で生まれたアサクラは、15歳でパンを仕事にし、21歳で自家培養発酵種の店を片田舎で立ち上げる。がむしゃらにパンを焼きまくり、行列のできる人気店に押し上げた。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170906-00003998-bunshun-life