https://mainichi.jp/articles/20171202/k00/00e/040/298000c
ワクチン供給遅れ 12月半ばには安定へ
季節性インフルエンザの患者数が各地で増加して今季の全国的な流行が始まったが、ワクチン製造の遅れから一部の医療機関で一時的に接種を休止する事態が起きている。
厚生労働省は、ワクチンの供給量は12月半ばには安定する見込みとしており、落ち着いた対応を呼びかけている。
同省によると、全国約5000ある定点医療機関から報告された患者数は、11月20〜26日で1医療機関当たり1.47(流行の目安は1.00)となり、同省は1日に全国的な流行入りを発表した。
25都県で流行の目安を超え、九州・沖縄では沖縄4.88▽長崎4.47▽宮崎3.20▽福岡2.32▽大分2.24▽鹿児島1.61▽佐賀1.58▽熊本1.11−−と、8県すべてで1を上回った。
ただ、主要な予防策であるワクチン接種では、例年にない課題を抱えている。
今年度、製造段階で当初は、より効果の見込めるウイルス株を選んだが増殖の効率が悪いことが判明。昨年度と同じ株での生産に変更したため、供給に遅れが生じている。
メーカー側が品質確認作業を急ぐなどして出荷を早める努力も重ねているが、接種希望者に対して在庫が間に合っていないのが現状だ。
福岡市東区に住む女性(36)は11月24日午後、近くのクリニックで2歳の娘と一緒に何とか予防接種を受けることができた。女性はほっとしつつも
「かかりつけ医で在庫がなく予防接種できないと話す母親仲間もいる」と語った。院長の岡本茂樹さん(68)は「ここのところ、業者にワクチンを20本超注文しても1回に入荷するのは10本程度と限られている」と打ち明ける。
今後、本格的な流行を前に12月上旬にかけて接種希望者が増えていくが、供給に余裕のない状況は続くとみられる。福岡県の担当課にも医師から、供給状況の問い合わせが相次いでいるという。
厚労省は、効果を得ようと2回接種するケースがある中、13歳以上は原則1回の接種を徹底するよう呼びかけるなど対策を講じている。
同省は「供給は後ろ倒しになっているが、順次流通している。同時に複数の医療機関に接種の予約をするようなことは避けてほしい」と冷静な対応を求めている。