
接点浮上も動機見えず 京アニ、事件から2週間
毎日新聞 2019年8月1日 20時23分(最終更新 8月1日 21時35分)
https://mainichi.jp/articles/20190801/k00/00m/040/231000c
京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオで起きた放火殺人事件で、
逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)の自宅から、
同社制作の人気アニメのサイン色紙が押収されていたことが、捜査関係者への取材で判明した。
青葉容疑者はこの作品の「聖地」と呼ばれる場所を事件直前にうろついたり、同社に小説を応募したりしていたとみられる。
1日で事件から2週間を迎え、容疑者と同社の接点が明らかになってきたが、詳しい動機は不明のままだ。
青葉容疑者は先月18日午前10時半ごろ、スタジオ玄関から侵入した直後にガソリンをまいて放火した疑いが持たれている。事件直後に身柄を確保される際、「(同社が)小説をパクりやがって」と叫んだが、当初は同社との関わりが分からなかった。
京都府警は同26日、さいたま市にある容疑者宅の捜索で、同社制作のアニメ作品や関連グッズ、原稿用紙などを押収。
この頃、青葉容疑者と同姓同名で住所・連絡先が一致する人物が、同社に小説を応募していたことも情報提供され、
ようやく接点が浮上した。
捜査関係者によると、
応募小説の内容は同社が制作する作品と似たジャンルで、小説の体を成していたというが、1次審査で落選している。
またインターネット上の掲示板で昨年9〜11月、
「(同社に)原稿を落とされた」「爆発物もって京アニに突っ込む」などと記された投稿も確認された。
記載者の経歴などから、府警は青葉容疑者が投稿したとの見方を強めている。
同社のホームページ(HP)にも同時期、特定社員への殺害予告や社への脅迫が200回ほど書き込まれており、
府警が関連を調べている。
一方、青葉容疑者が事件直前、同社制作の人気アニメ「響け!ユーフォニアム」に絡み、
ファンの間で「聖地」と呼ばれているJR宇治駅周辺をうろつく姿が、複数の防犯カメラに映っていた。
この作品のサイン色紙も押収されており、作品へのこだわりがうかがえる。
容疑者と同社とのつながりが次第に分かってきたが、青葉容疑者は重篤で予断を許さない状況だ。
回復まで1年以上かかるとの見方もある。
このため、府警は押収物のパソコンやスマートフォンなどの通信機器の解析に力を入れ、動機解明へつなげたい考えだ。
府警によると、1日現在、やけどなどで負傷した10人が入院。中には重篤な状態の被害者もいる。
【小田中大、福富智、添島香苗】