https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019112202000155.html
関西電力役員らの金品受領問題を受けて福井県が設置した調査委員会は二十一日、現職幹部と元幹部ら計百九人が、同県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から現金や贈答品を受け取っていたとの報告書を公表した。
うち二十一人は「儀礼の範囲を超えている」と認定。十万円相当の商品券や小判をもらった人もおり、二十一人の受領額は合計百二十二万円相当、一人当たりの最高額は二十万円相当だった。
二〇〇三年に退任した栗田幸雄元知事も中元や歳暮を受け取っていた。
森山氏が県に対しても人脈を確保しようとしていた動きが改めて確認され、公務員のコンプライアンスの甘さも露呈。
調査委は、「職員倫理規程」を整備して儀礼の範囲を明確にし、一定額以上の金品を贈られた場合には報告する制度を設ける必要があると指摘した。
調査委は藤井健夫弁護士ら県の顧問弁護士三人で構成。退職者を含む職員計三百七十七人を対象とし、面談や書面で三百十三人から回答を得た。一九八〇年代後半の在職者までさかのぼり調査した。
「儀礼の範囲を超えた」とした二十一人は九三〜二〇一四年度に受領。多くは就任祝いや餞別(せんべつ)の名目だった。
二人が計二十万円相当を、三人が現金や商品券で十万円相当を受け取っていた。十人が五万円以下で三人は金額不明。
手土産の菓子の下に二万円の商品券が入っていた人や、五万円の香典、ワイシャツ仕立券を受け取った人が計三人いた。
人権対策を所管する旧県民生活部や健康福祉部、教育庁、高浜町を所管する嶺南振興局の所属が多く、二十一人の半数以上は相応の品物を返送していた。
うち一人は現役の五十代男性で、県は一四年度に健康福祉部にいた際、十万円の商品券と十万円相当の小判一枚を受け取ったとして戒告の懲戒処分とした。
残る二十人も処分に相当するとしたが既に退職しており処分はできない。報告書は二十一人以外の大半は中元や歳暮などのやりとりで、儀礼の範囲内と認定した。
また報告書は、今回の調査対象者が森山氏に便宜を図った事実は確認されず、公共工事の発注など県の行政運営に対する影響はなかったとした。
原子力対策を所管する安全環境部では森山氏との接点は見受けられず、森山氏と関連があるとされる建設会社「吉田開発」や警備会社との契約にも問題はなかったとした。