真面目すぎるがゆえに選んだ、“芸能界”との決別だった。
高いプロ意識で11年間ノースキャンダルを貫き、王道アイドルとして君臨し続けた。かつては「サイボーグ」と呼ばれたことも。
個性豊かなメンバーがそろったAKB48の中でも、特に貴重なメンバーだった。
幾度となく好きな男性のタイプを聞かれても、漠然とした答えを返すのみで、明言することはほとんどなかった。当然、全てのファンがタイプに当てはまるわけではない。
「ファンの方を悲しませるわけにはいかないので」とほほえんだ。男性スキャンダルを追う週刊誌も「無理だった。渡辺麻友は本当に何もない」とついに音を上げたという。
ブレない姿勢はアイドル卒業後も続いた。飲み会などの会合に参加することも、ほとんどなかった。
ついに1つの浮いた話さえなかった。ある意味、女優・タレントとしては「異端」な存在だった。
エンターテインメントは時に理不尽だ。必ずしも正義が勝つとは限らない。「うそも方便」がまかり通ることもある。
渡辺と“芸能界”との間には、どこかで「ズレ」が生じていたのかもしれない。
強すぎる責任感が、中途半端な答えではなく、「引退」という重い言葉を導いたのだろう。
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