株式会社スタッフサービスは、国内の派遣会社において、「業界最多」の求人数を誇る最大手だ。
試しに、8月10時点で関東地域に絞って派遣社員・紹介予定派遣の求人数をスタッフサービスグループのウェブサイトで検索すると、3万4550件がヒットし、テンプスタッフのウェブサイト6560件、マンパワーのウェブサイト4750件を大きく引き離している。
また、スタッフサービスは2008年にリクルートホールディングスに買収されており、リクルートグループの傘下にある。
リクルートホールディングスは、派遣会社として以前からリクルートスタッフィングを抱えていたが、スタッフサービスも手中におさめ、人材ビジネス業界で国内最大の売上を維持してきた。
しかし、そのスタッフサービスもまた、厚労大臣の「要請」に応じていなかったことがわかった。
関東圏在住の30代の男性Aさんは、昨年8月から金属加工機械メーカーの事務職として派遣先に勤務していた。
ところが、今年6月末でコロナによる経営悪化を理由として派遣契約を更新されず、そのまま派遣会社を雇い止めとなった。
スタッフサービスは、7月以降のAさんの派遣先の候補を3件紹介したが、いずれも派遣先側の都合で就労決定には至らなかったという。
その後も、コロナを理由として派遣先が減少しているとして、新たな派遣先は紹介されず、Aさんはすでに2ヶ月近く失業状態が続いている。
Aさんは厚労大臣の5月26日付の「要請」の存在を知っていたため、スタッフサービスの担当者に対し、7月以降も雇用契約を更新し、厚労省の要請に応じて雇用調整助成金を利用して休業補償を払ってもらえないかと求めた。
すると担当者からは、予想外の答えが返ってきたという。
担当者は「国や人材派遣協会から「こうしなさい」という指示が降りてきているわけではないので、現場サイドとしては特にできない」「雇用調整助成金の受給の基準を満たさない」と返答したのだ。
ユニオンの申し入れを受けて、同社の法務担当者は、コロナによる雇い止め以降に対して、雇用調整助成金を利用しての休業補償の支給は一般的に考えていないと説明した。
Aさんのケースは例外ではなく、スタッフサービス全体として、厚労大臣の「要請」に応じていなかったということだ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200811-00192723/
続く