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夏虫色って…「半分、淡い。」電車 朝ドラファン沸く
「まだまだ勝手に関西遺産」
朝ドラ「半分、青い。」のセリフに出てきた「夏虫(なつむし)色」の電車。京阪のあの車両を指すのでは、と話題になりましたが、最近見かけません。
「通勤途中なんだ。電車来た」
「電車の色、教えて。何色の電車?」
「なんだ、その質問。夏虫(なつむし)色だよ」
「夏虫色……? 夏虫って、色の名前だったんだ」
「そうだよ。きれいな薄緑」
今週、最終回を迎えるNHKの朝ドラ「半分、青い。」。7月2日の放送回では、漫画が描けずに苦しむ主人公の鈴愛(すずめ)(永野芽郁〈めい〉)が、幼なじみの律(佐藤健〈たける〉)から結婚報告の電話を受ける。そこで、冒頭のやりとり。夏虫は、律がかつて鈴愛にプロポーズした思い出の駅の名前でもある。「バイバイ、律」。鈴愛が別れをかみしめる瞬間だった。
この「夏虫色」という電車に、ビビッと反応した人たちがいた。「京阪電車では?」
放送時の律は大阪・都島に住み、松下電器(現パナソニック)を思わせる「菱松電機」に勤める設定。通勤ルートを考えると、やはり京阪電車だ。京阪の公式ツイッターも「これのことですかね?」と写真つきでつぶやき、盛り上がりをみせた。
「半分、青い。」の脚本家北川悦吏子さんは、ツイッターで「夏虫色の電車(中略)本当にあったのですね」とつぶやき、自身はイメージの世界で書いたものの、現場はちゃんと検証してたのかも、としている。NHKの広報担当者は「ご想像におまかせしたい」。
京都で学生時代を過ごした記者にとって、京阪といえばこの緑のツートンカラーの電車。うんうんと懐かしんでいたが、そういえば最近この色の電車を見かけない。夏虫色の電車はどこへ行った?
京阪電鉄によると、正式には夏虫色ではなく、上半分が若草色(ライトグリーン)、下半分が青緑色(ダークグリーン)のツートンだそう。1957年、新型の通勤車両に用いられた。「通勤ラッシュが激しくなる中、さわやかな緑色が選ばれたのではないか」という。
以降、特急以外の一般車両はこの色で、多い時期には600両以上が走っていた。しかし、2008年、京阪がカラーデザインの一新を決定。一般車両は、緑と白色が映える現代的なカラーに塗り替えられることになった。
いま、この緑のツートンをまとうのは、琵琶湖のそばを走る石山坂本線(石坂線)の4編成8両のみ。のどかな沿線の風景に、レトロな緑の配色がよく似合う。それも、定期検査にあわせて順次塗り替えられ、20年度末には姿を消すという。
車両を切り口に京阪の魅力をまとめた「京阪電車」(JTBパブリッシング)の著者、清水祥史さん(55)は「埋もれず、浮かず、四季折々の風景になじむ色」と語る。大阪府枚方市で生まれ育った、根っからの京阪ファン。人生の大切な思い出は、この色の車両と、黄色と赤のツートンだった特急車両とともにある。特急色は京都府八幡市の男山ケーブルに残る。「願わくば、ケーブルの1両を緑のツートンに塗り替えて、半世紀以上も親しまれた名コンビをいつまでも楽しめるようにしてもらえたら」と清水さん。
右肩上がりの昭和にうまれ、平成をまたいで、大阪、京都、滋賀を駆け抜けた京阪グリーン。その温かみのある姿よ、いつまでも。(尾崎千裕)
お笑いコンビ「テツandトモ」 テツさん(48)
高校3年間、石坂線で通学していました。好きだった女の子と車両が一緒になっても緊張で何も話せなかったり、三井寺駅そばの琵琶湖疏水を渡る時に窓から見える桜がめちゃめちゃ奇麗で癒やされたり。そして、石坂線といえばあのカラー、すごく懐かしいですね。沿線に歴史的な文化財がたくさんありますし、決して派手ではないあのカラーに奥深い思いがつまっている感じもします。石坂線に乗りたくなってきました。