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事の発端は、3月9日、安倍晋三議員が週刊ダイヤモンドの記者(以下、「A記者」)から独占インタビューを受けた際、A記者がニュークリアシェアリング(核共有)について重大な誤認を前提としたような質問がなされたことに始まります。
私は、中国問題をはじめとした安全保障分野の知見があることから、かねがね政府高官らから相談を受けることがあり、安倍氏にも外交・安全保障について議員会館で定期的にレクチャーをさせていただいていました。安倍氏が首相特使としてマレーシアに向かう前日の3月9日も、ロシアによるウクライナ侵攻など最近の国際情勢について説明をしていました。
その際、安倍氏から「先ほど週刊ダイヤモンドから取材を受けた。ニュークリアシェアリング(核兵器の共有)についてのインタビューを受けたのだが、酷い事実誤認に基づく質問があり、誤報になることを心配している」と相談を受けました。A記者からは、ニュークリアシェアリングについて、「拡大抑止と概念的に同じ」「日本と韓国による拡大抑止」といった発言のほか、あたかも中国と北朝鮮がニュークリアシェアリングしているともとれるような誤認をしたままの質問がなされていたそうです。
安倍氏からA記者の名刺が提示されました。私はA氏とは約2年前からの知り合いで、今年1月には、A氏のインタビューを受けてダイヤモンド誌に掲載されています。昨年12月の段階では朝日新聞を辞職する意向を伝えており、辞職後には同誌への執筆と書籍の出版を相談していた程の仲でした。なお、A氏は外交・安全保障を専門分野とする記者ではなく、ニュークリアシェアリングについての正確な知識がないことも想像できるものでした。