圧力鍋で爆弾、試しに爆発 容疑者「襲撃に不向き」 安倍氏銃撃
社会
安倍晋三元首相(67)が奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、無職の山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が「圧力鍋を使って爆弾を作ったこともあるが、特定の人を襲うには不向きだった」と供述していることが、捜査関係者への取材で判明した。奈良県警は山上容疑者が襲撃対象を確実に狙おうと、殺傷力の高い武器の試作を重ねていた疑いがあるとみている。
親族によると、山上容疑者の母親は約30年前、宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に入信。少なくとも約1億円を献金し、2002年に自己破産した。山上容疑者は海上自衛隊に在籍していた05年1月、自殺未遂を起こした。家族が生活に困窮していたことに追い詰められ、「生命保険金をきょうだいに渡したかった」と訴えていたという。
捜査関係者によると、山上容疑者は「家族をめちゃくちゃにした団体を10代の頃から恨んでいた。団体を国内に広めたのが安倍氏と思って狙うようになった」と供述。当初は団体トップを襲撃する計画を立てていたが接触できず、対象を安倍氏に切り替えていたことが明らかになっている。
山上容疑者は「最初は圧力鍋を使った爆弾を作り、試しに爆発もさせていた」と供述。火薬の製造方法をインターネットで入手していたことも分かっており、こうしたノウハウに基づき爆弾も製造することができたとみられる。
一方、山上容疑者は暴発によって不特定の人に危害が及ぶことを避けたという趣旨の説明もしている。さまざまな武器の試作を重ねる中で、襲撃対象を狙いやすい銃の製造を決めた可能性が高い。
山上容疑者は22年2月ごろまでに、少なくとも6丁の手製銃を完成させた。インターネットの動画などを参考にしたとされる。安倍氏の銃撃に使われた銃は銃身にあたる金属製の筒2本をテープで固定。1度引き金を引くと最大6発が発射され、殺傷力の高い構造になっていた。
https://mainichi.jp/articles/20220716/k00/00m/040/097000c