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https://news.yahoo.co.jp/articles/8c0849408357fb879f357525888f83a22ad245da
共演者も人種差別に抗議!「黒人エルフはいない」と批判された俳優の思い
多くのファンが配信を待ち侘びていた、ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』。
オリジナルシリーズではオーランド・ブルームやケイト・ブランシェットなど白人俳優たちが演じていたエルフ役を今作で演じているうちの一人が、プエルトリコ出身の俳優イスマエル・クルス・コルドバ。
有色人種の俳優がエルフを演じることに対し一部ファンから批判されていることについて、イスマエル本人が想いを明かしている。
世界的な大ヒットを記録した映画シリーズ『ロード・オブ・ザ・リング』。その2000年前を描いた『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』が、Amazonプライムビデオで公開に。現地メディアによれば、配信初日には世界中で2500万人以上が視聴したほか、同サイトで初日に最も視聴された作品となったという。
そんな注目の作品でエルフの一人である「アロンディル」を演じているのが、アフリカ系プエルトリコ人のイスマエル・クルス・コルドバ(35歳)。
「原作や、“原資料”と異なる」などという理由から、一部ファンによる批判に晒されているイスマエルの起用。第74回エミー賞のレッドカーペットでのインタビューに応じた彼が、そんな状況について胸の内を明かしている。
「(作品に対する世間の反応に対して聞かれ)愛情や情熱を感じています。多くのファンが、私のような俳優がエルフを演じることに懐疑的なのも事実ですが、自分のできるすべてを投じて演じました。それに、批判がある一方で『演じてくれてありがとう』『自己投影ができる配役で嬉しい』という声も聞こえてきています」
実は、幼い頃からエルフの役を演じることを夢見ていたという、イスマエル。自身のInstagramでは、貧しい地域で育ったこと、そんな彼が居場所を探し続けていたこと、そしてエルフの役を獲得するということは現実的でないと言われていた過去について言及したことも。
「エルフ役をもらうことは、不可能だと感じていました。なぜなら、周囲に嘲笑いされながら『黒人エルフなんていない。ラテン系エルフもいない。エルフになんかなれないんだよ』と言われていたから。馬鹿げた夢だと言われ、私自身もそう信じかけていました。だから、他の夢と同じように、胸の底の方にしまっていたんです」
また、同役を演じると決めた時点で批判を覚悟していたことも、<Deadline>のインタビューで明かしている。
「私もシリーズのファンの一人です。だからこそ批判されることは分かっていましたが、あえてこの役を演じることにしました。実は何度かこの役を断られたこともあったけれど、それでも挑戦しつづけてきました。そのような障壁にぶつかることは想像していたから。私は、こうして居場所を勝ち取り、第一線で活躍をするということを、キャリアの目標にしてきました」
「でも、傷つくことも事実です。(中傷や批判を受け続けることは)大きなエネルギーだし、有害で不条理だから。でも、その奥底には変化を受け入れる人や、彼らの愛で溢れています。そして、SNSを通して優しい言葉をかけてくれる人だってたくさんいます。ダイレクトメッセージには直接返信はできていないけれど、『あなたにひどいことをしていると聞いたから、メッセージは愛で溢れるものにしたい』と言って、送ってくれる人もいて。そういうことこそが、僕にとっては大切なことなんです」
シリーズ出演者たちが人種差別に抗議
そんな彼が置かれている現状に、過去のシリーズ出演者をはじめとするハリウッド関係者が声を上げている。
ホビットを演じたイライジャ・ウッドなどが、エルフ語で「全ての人を歓迎します」と書かれたTシャツや帽子でサポートを表明したことも話題に。
女優のウーピー・ゴールドバーグも「エルフは、実世界には存在しません。ドラゴンもホビットもそうです。黒人は架空のキャラクターになってはいけないと言うのですか?」と意見を述べている。
また、『力の指輪』公式もメッセージを発信。
「我々は一部の有色人種キャストに対する日々の執拗な人種差別、脅迫、ハラスメント、暴言に連帯して抗議をします。無視や我慢はいたしません。J・R・R・トールキンは多様なカルチャーが存在する世界を作りました。(中略)我々の世界、ファンタジーの世界、そして中つ国が真っ白だったことはないのです。黒人や先住民、そして有色人種の人も中つ国の一員であり、今後も変わりません」
「最後に、サポートしてくださるファン、特に有色人種という理由で他のファンから攻撃を受けているファンに愛と友情を送ります」