相次ぐ未完成住宅 トイレ、照明なし…夢の新居は「まるで工事現場」
キッチンがない、トイレがない――。
新築の家が、未完成のまま引き渡されるケースが相次いでいます。
こうした「未完成住宅」が増える背景には、コロナ禍やウクライナ情勢なども。引き渡し後の欠陥やトラブルも出てきているといいます。
内覧会でがくぜん キッチンも壁紙もなく…
東京都内の30代男性は、23区内に3階建ての念願のマイホームを建てた。
妻と1歳、4歳の子どもと4人暮らし。将来の生活を見据え、分譲マンションから住み替えることを決めた。
中堅メーカーに注文住宅を依頼した。
キッチンからリビングが見えるように。子どもが大きくなった時に本に触れてほしいと、廊下に本棚を。車が好きなので、雨風のあたらない大きめの車庫をつけることにはこだわった。妻と相談しながら、夢がふくらんだ。
住宅の引き渡し1週間前の内覧会。
男性はがくぜんとした。
家はまだ、壁紙やフローリングがはられていない状態で、靴のままで入った。
キッチンも設置されていなかった。
「とても住める状態でなく、『内覧会』というより工事現場の確認という感じでした。1週間後の引き渡しに間に合わないだろうなとも思った」と男性は振り返る。
職場の異動に合わせて引っ越しを予定し、子どもの保育園も決めていた。住んでいるマンションの売却も進めていたため、引き渡し予定の3月からは延期できない。
引き渡しでも一部が未完成
建設が始まったのは、昨年11月。メーカーを探す際は、仕事の異動などに合わせて、3月に引き渡しができることを条件にした。余裕をもたせて工程を組んだはずだった。
当初、工事は順調だった。
だが、基礎工事の後、計画通りに資材が入荷できないことが増えた。木材の入荷が遅れ、足場をたてたが、2週間、工事が止まった。
断熱材も入荷されないため、次の工程にうつることができず、どんどん遅れた。
メーカーからは「ウクライナ情勢や国内外の住宅需要増などで資材が入らず、遅れている」と説明を受けた。
内覧会から1週間後、引き渡しを受けた。やはり、一部が未完成だった。
コンクリートのはずの庭や車庫は砂利のまま、シャッターもなかった。駐車できないため、メーカーが費用を負担し、自宅から3分ほどの月決め駐車場を1カ月ほど使った。
玄関のライトもなし。外壁のつなぎ目のすき間の気密性を高めるシーリングは終わっておらず、足場を組み直してその後も作業が続いた。完成したのは3カ月後の6月だった。
給湯器の入荷も間に合わず、仮のものをつけたほか、ドアが予定と違うものがついているなど、焦りからか施工ミスも目立った。
「車が入れられないのは驚きでした。何とか住めるようにはしてくれたものの、こんなことが起こるとは始めは思わなかった」と男性は話す。
https://www.asahi.com/articles/ASQ9Q334NQ8ZULEI00J.html