【シリコンバレー=清水孝輔】米グーグルがエンジニアなど少なくとも数百人を削減することが11日までに明らかになった。音声アシスタントの「グーグル・アシスタント」などソフトウエアやハードウエアを開発する技術者を含む。コストを抑制し、成長領域である人工知能(AI)に投資の軸足を移す。
グーグルの広報担当者によると、グーグル・アシスタントやハードウエアなど複数の部署で数百人の人員を削減しているという。持ち株会社である米アルファベットの労働組合によると、削減する人員は合計で1000人を超える。
グーグルの広報担当者は日本経済新聞の問い合わせに対し、「当社の最優先課題と今後の大きな機会に対して責任を持って投資している」と答えた。2023年下半期を通じて経営資源を優先事業に集中するための人員削減を含めた組織変更に取り組み、一部の部署では今でも続けていると説明した。
グーグルは対話型AI(人工知能)「Bard(バード)」など生成AIを活用したサービスの開発体制を見直してきた。23年には本社地区の新拠点にAI技術者を集約した。米新興オープンAIと資本・業務提携する米マイクロソフトなどが攻勢をかけるなか、対応を迫られている。
アルファベットの米国通信労働者組合(CWA)系の労働組合はX(旧ツイッター)への投稿で「グーグルは再び不必要なレイオフ(一時解雇)を始めた。私たちは雇用が守られるまで戦いをやめない」と述べた。
グーグルは人員削減を繰り返してきた。23年1月には世界で約1万2000人の社員を削減すると発表した。アルファベットの社員の約6%に相当する規模だった。同年9月には採用チームでも数百人を削減することが明らかになった。
グーグルなどのテクノロジー大手は新型コロナウイルスの流行に伴う需要拡大で採用を増やした。だがインフレや消費減退が進んだことで、近年は各社が余剰人員の削減を通じたコスト抑制にかじを切っている。
2024年1月12日 6:25
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11EDV0R10C24A1000000/