自民党が単独で過半数を超える議席を獲得し、事実上勝利した先の衆議院選挙。
NHKの出口調査では、若者が自民党を支持する傾向がはっきりと読み取れた。
少子高齢化の中で、意見が政策に反映されにくいとされる若い世代がなぜ政権与党である自民党を選んだのか。
新型コロナウイルスの問題は投票先の判断に影響しなかったのか。
■衆院選の出口調査グラフ
自民党が若者から支持を集める傾向は、実は今に始まったことではない。
■出口調査によると、20代で自民党に投票した割合は自民党が旧民主党から政権を奪還した2012年は33%だったが、
徐々に割合が増え、2014年は44%、2017年は50%と半数に上った。41%だった今回は、むしろ陰りが見えるとも言える結果となった。
■若い世代に政治や選挙を身近に感じてもらおうと、インターネットを使った模擬投票などの取り組みを行っている
「学校総選挙プロジェクト」のプロジェクトリーダー、石井大樹さん(45歳)に話を聞いた。
プロジェクトでは、9月から10月にかけて全国の29歳以下の若者を対象にインターネットで投票してもらい、「期待する政党」とその理由を調査した。
この調査でも、自民党が58.2%を占め、2番目に多かった立憲民主党の4倍以上の支持を集めたという。
石井さんは、3万あまりの回答の中から、自民党に期待すると答えた人が挙げた特徴的な理由を紹介してくれた。
・「政権が変わっても、日本は変わらないと思うし、それだったら変わらない方が混乱はない」(29歳・男性)
・「他党に比べての信頼があるから、自民党に任せておけば大丈夫だと思うから」(18歳・男性)
・「現在の日本で生きていて、ものすごく不便なことや、絶対にこれは困るといったことなどが思い当たらない為」(23歳・女性)
・「コロナで目立ちはしないが携帯料金引き下げなど、実際の功績は多い」(21歳・男性)
・「やる公約が選挙のためだけでないように感じる。その他の政党は選挙のための実現性が低い内容に感じる」(20歳・男性)
石井さんは、政治の変化を望まず、安定を重視する若者が多いことが自民党支持の広がりにつながっているのではないかと話す。
「10代後半から20代の多くは、物心がついてからずっと自民党政権で、大きな不利益を受けたこともなく、日本は平和でいい国だと思っている。
この世代は『コスパ=コストパフォーマンス』や『タイパ=タイムパフォーマンス』という言い方をよくするが、
政権交代のリスクとそれによって返ってくるリターンを考えた時に、自民党には安心感があり、
リスクを冒して代えるほど悪くないと思っているのではないか」
政府のコロナ対策も、感染者数が減少に転じたこともあり、評価する意見が多いという。
「『初めての出来事で誰がやってもうまくいかない中で、よく頑張っている』という若者もいる。
自民党の取り組みに100%満足しているわけではないが、よくないところは変えてくれればよくて、政権を代えるところまでいっていない」
■自民党以外の政党が出口調査でどんな特徴があったか見てみよう。
まずは、立憲民主党。
50代以上になると2割を超え、50代は21%、60代は25%、70代以上は26%だった。
自民党とは対照的に高齢であるほど投票先に選ぶ傾向が見られた。
議席を伸ばした日本維新の会。
18・19歳は9%、20代は11%だったが、30代は16%、40代は18%。自民党には及ばないものの、
30代、40代の働き盛りの世代では立憲民主党を上回った。
・待鳥教授は、代表が辞任に追い込まれた野党第1党に警鐘を鳴らした。
「立憲民主党は、今のことしか言っていないと思われている。しかも自民党より(内容が)悪いと思われている。
今の政策の信頼度の低さと、将来の政策のピントのずれ方を直さないと固定客だけを相手にする店になってしまう」
「立憲民主党はネットやツイッターに出ているとがった意見を見すぎだ。そこに平均値はない。
世論はどういう構造で、有権者がどう考えているのか、政策をどう訴えなければならないのか考え、
最重要争点で十分競争相手になるという信頼を勝ち取る必要がある。
立憲民主党は、権力の私物化を許さないと自民党を批判するが、権力の私物化が起こるのは政権交代の可能性がないと思われているからだ。
若い人たちから選択の機会を奪ってはいけない」
NHKの出口調査では、若者が自民党を支持する傾向がはっきりと読み取れた。
少子高齢化の中で、意見が政策に反映されにくいとされる若い世代がなぜ政権与党である自民党を選んだのか。
新型コロナウイルスの問題は投票先の判断に影響しなかったのか。
■衆院選の出口調査グラフ
自民党が若者から支持を集める傾向は、実は今に始まったことではない。
■出口調査によると、20代で自民党に投票した割合は自民党が旧民主党から政権を奪還した2012年は33%だったが、
徐々に割合が増え、2014年は44%、2017年は50%と半数に上った。41%だった今回は、むしろ陰りが見えるとも言える結果となった。
■若い世代に政治や選挙を身近に感じてもらおうと、インターネットを使った模擬投票などの取り組みを行っている
「学校総選挙プロジェクト」のプロジェクトリーダー、石井大樹さん(45歳)に話を聞いた。
プロジェクトでは、9月から10月にかけて全国の29歳以下の若者を対象にインターネットで投票してもらい、「期待する政党」とその理由を調査した。
この調査でも、自民党が58.2%を占め、2番目に多かった立憲民主党の4倍以上の支持を集めたという。
石井さんは、3万あまりの回答の中から、自民党に期待すると答えた人が挙げた特徴的な理由を紹介してくれた。
・「政権が変わっても、日本は変わらないと思うし、それだったら変わらない方が混乱はない」(29歳・男性)
・「他党に比べての信頼があるから、自民党に任せておけば大丈夫だと思うから」(18歳・男性)
・「現在の日本で生きていて、ものすごく不便なことや、絶対にこれは困るといったことなどが思い当たらない為」(23歳・女性)
・「コロナで目立ちはしないが携帯料金引き下げなど、実際の功績は多い」(21歳・男性)
・「やる公約が選挙のためだけでないように感じる。その他の政党は選挙のための実現性が低い内容に感じる」(20歳・男性)
石井さんは、政治の変化を望まず、安定を重視する若者が多いことが自民党支持の広がりにつながっているのではないかと話す。
「10代後半から20代の多くは、物心がついてからずっと自民党政権で、大きな不利益を受けたこともなく、日本は平和でいい国だと思っている。
この世代は『コスパ=コストパフォーマンス』や『タイパ=タイムパフォーマンス』という言い方をよくするが、
政権交代のリスクとそれによって返ってくるリターンを考えた時に、自民党には安心感があり、
リスクを冒して代えるほど悪くないと思っているのではないか」
政府のコロナ対策も、感染者数が減少に転じたこともあり、評価する意見が多いという。
「『初めての出来事で誰がやってもうまくいかない中で、よく頑張っている』という若者もいる。
自民党の取り組みに100%満足しているわけではないが、よくないところは変えてくれればよくて、政権を代えるところまでいっていない」
■自民党以外の政党が出口調査でどんな特徴があったか見てみよう。
まずは、立憲民主党。
50代以上になると2割を超え、50代は21%、60代は25%、70代以上は26%だった。
自民党とは対照的に高齢であるほど投票先に選ぶ傾向が見られた。
議席を伸ばした日本維新の会。
18・19歳は9%、20代は11%だったが、30代は16%、40代は18%。自民党には及ばないものの、
30代、40代の働き盛りの世代では立憲民主党を上回った。
・待鳥教授は、代表が辞任に追い込まれた野党第1党に警鐘を鳴らした。
「立憲民主党は、今のことしか言っていないと思われている。しかも自民党より(内容が)悪いと思われている。
今の政策の信頼度の低さと、将来の政策のピントのずれ方を直さないと固定客だけを相手にする店になってしまう」
「立憲民主党はネットやツイッターに出ているとがった意見を見すぎだ。そこに平均値はない。
世論はどういう構造で、有権者がどう考えているのか、政策をどう訴えなければならないのか考え、
最重要争点で十分競争相手になるという信頼を勝ち取る必要がある。
立憲民主党は、権力の私物化を許さないと自民党を批判するが、権力の私物化が起こるのは政権交代の可能性がないと思われているからだ。
若い人たちから選択の機会を奪ってはいけない」